わたしはあなたを閉じ込めた。
理由はわたし以外の外気に触れて欲しくなかったからだ。
自分のお気に入りの玩具を独り占めしたい幼児にそれはどこか似ているかもしれない。どんどん窶れていくあなたを見るとわたしは胸が苦しくなる。そしてわたしという檻に入れてもなお他の男を一途に思う目が酷く憎らしかった。
何故わたしを映してくれない。




「誰か―!!誰か此処から出して!!!」

監禁生活7日目。むき出しのコンクリートの壁や床に、鉄格子の簡素な窓が一つ。お手洗いも同じ室内にある。丁度独房のような感じかも知れない。でもベッドは凄く高級なもので、食事も豪華な物だった。此処には気づいたらいた。会社から帰るためにオフィスを出たところまでは覚えている。目が覚めたときは日が昇っておりそこから7日数えた。だからもしかしたら7日以上たっているかもしれない。携帯など外界と繋がる物はすべて奪われており、叫ぶしか他に手段はなかった。
誰がわたしを閉じ込めたかは直ぐにわかった。監視カメラが設置されていたのと、気がついたときに直々に会いに来てくれたからだ。
長く艶やかな銀色の髪の男―――――


「まだ無駄な抵抗をしていたのか」


重厚感のある鉄の扉が開いた。
そこには英雄と人々に崇められている人物が目の前にいる。


「……………」


目を細め見透かすように、舐めるように見入る。悪寒が走る。微笑む口元、まるで悪魔のようだ。


「まあいい、ここに食事をおいて置くぞ」


銀の器に入れられた温かそうな湯気がもくもくとたっているシチュー。サラダ。
わたしは彼の言葉に絶対に答えない。答えたくない。


「あんまり黙ってばかりだと、またあのときのようにするぞ」


一段とその唇を歪ませ狂喜のようにそう言う。
わたしは目を見開き、昨日の与えられた食事が入っていた空の容器を思い切り投げつけた。手は怒りで震えていることだろう。
わたしの手から勢いよく投げつけられたそろは、いとも簡単にセフィロスが掴み、そのままそっと床に置いた。
まざまざと思い出す恐怖と怒り。
わたしは犯されたのだ。恥辱や屈辱の中で。
やつが去って行く間際にわたしの目は既に潤んでいた。この耐え難い状況下、どうやってこの鳥籠からでようかと頭の回路を回転させる。
わたしは必ず出てみせる。



扉が閉まり、南京錠の擦れる音がした。



彼女のいる部屋に鍵をかけた。
既に瞳が潤んでいたことがとても可愛かった。
あなたが逃げ出せる筈がない、わたしに捕まった以上殺されるか檻に入るしかないのだ。
あと幾日経てばあなたが忠実なわたしだけを見てくれるモノになるかが楽しみでしかたない。


――――――、愛しているよ