スイスさんはとても可愛い、ぎゅ〜と抱きつきたくなる。日本さんはそれは“萌”と言うのだと教えてくれた。“萌”とは何かと問うと、言い表し難いが強いて答えとするならば、愛くるしい存在かもしれない。と言葉を残した。日本の秋葉原というところにはその萌が沢山あって、オタクのメッカなのだと。秋葉原では喫茶店の女の子がお人形のようなメイド服を着ているそうで、それを着たスイスさんを思い浮かべて可愛いと胸がキュンとしたらわたしにはオタクの素質があるそうな。この間の世界会議のときの出来事だった。

「フランス、キュンとしたわたしはオタクなのだろうか?」

「……さぁ、兄さんにはさっぱりわからないよ」

「でもスイスさんは本当に可愛いと思う!!」

「それは兄さんだって思うさ。ただ性格が見た目と大分違うよな〜」

「そういうのをギャップ萌というらしいよ」

「へ〜」

エトワール凱旋門を臨めるカフェはとてもお洒落で、流石フランス・パリは美の町だと思った。趣のある古びた雰囲気もまたいい味を出している。仰ぎ見えるパリの空模様はとても穏やかで、透き通るような真っ青な絵の具で塗り潰したようだ。

「………あっ、そうだ。そんなスイス萌な君に良いものを見せてあげよう。スイスの寝間着の写真だよ。」

「うわぁ〜!!!!天使が寝ているみたい!!!」

「そうだろ〜、これはだなぁ去年のクリスm」

銃声がどこかから響き渡り隣を振り向いたそのときには、もう彼の姿はありませんでした。夥しいまでの血飛沫と一発の弾劾が地面に突き刺さり煙をあげていました。赤い鮮血が、パリの空に張り合うぐらいの鮮やかなコントラストで、まるで一枚の絵のようでした。
ありがとう、フランス。わたしはこの萌を忘れないよ。